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ジャーナリスト 恩田勝亘 特別寄稿

忍び寄る放射能汚染

拡散する放射能汚染源と汚染食品

 12月8日、明治の粉ミルクから30.8ミリシーベルトの放射能が検出されて大騒ぎになった。国が定める140ミリシーベルトを下回るとはいえ、乳幼児用食品から検出されたということ自体に問題があり、若い母親たちが衝撃を受けるのも当然だろう。また同7日には、北九州市の産廃処理会社から放射法汚染された焼却灰18トンが千葉県流山市へ送り返されたばかり。流山市のゴミ処理をめぐっては、秋田県大館市と小坂町で行政側と住民の対立が深まっている。

出荷規制によって一定の拡散は防げても今後ますます問題になるのは食料品であり、がれき処理問題だ

 「フクシマ」(東京電力福島第一原発事故)発生以来、原発震災に見舞われた地域の野菜や果物、魚などの食料品が問題になるのは当然だった。が、目前のそれは出荷規制によって一定程度の拡散は防げる。しかし、それが一段落しても全国規模でいずれ問題になると予想されたのは、やはり食料品であり、がれき処理である。
 がれき処理も先を急ぐ問題だけに国も被災地も引受先を募ったところ、北海道や九州を中心にかなりの自治体が手を挙げた。とはいえがれきは東日本全体、とりわけ津波で家を流された太平洋岸のそれは膨大だ。中でも問題になるのが原発のある福島県を中心とする宮城県、茨城方面のがれきである。これらは長期にわたって放射能を浴び続けるため、福島県は当然ながら、同県に近い海岸のがれきの山はいまも手つかずだ。
 これらは焼却する前に放射能レベルが落ちるのを待つしかない。出来ることといえばそれぞれ一定のがしょに集めたうえ、放射能が飛散しないように地上はカバーを、地下は雨水の流入による地下水汚染を防ぐ措置をとることぐらいだ。
 したがって全国の自治体に引き受けてもらえるのは、宮城県北部から岩手県、南は茨城県南部から千葉県方面である。しかし、当初は各地の自治体もそれに気づかなかったのではないか。がれき処理に名乗りを挙げたものの、少しでも放射能に汚染されたがれきが自分の町で処理されるとなれば、地元から反対の声が起きるのも止むを得ない。当初は北海道と並んで九州北部方面での引き受け手が多かったことから、韓国からも汚染を心配する声がネットに上がっていた。放射能が焼却時の煙にのって韓国まで届くのが不安視されたからだ。
 そして7月に以前から流山市のゴミ処理を受けていた大館、小坂両市町の焼却灰から、埋め立て処理可能な基準値である8000ベクレルの3・6倍もの放射能が検出された。その結果、がれき処理に前向きな姿勢をみせていた自治体の腰が引け、引き受け手になるはずだった自治体数は急速にしぼんでしまった。地元住民に配慮すれば非難されるべきことでもないだけに、被災地にとっては深刻だ。


汚染されたゴミが離れた地域に運ばれ、焼却されることにより放射能の拡散は起こり得る

 注目すべきは流山市が原発から200kmも離れた内陸部にあり、大館市と小坂町が引き受けていたのはいわゆる汚染がれきではない。そんな地域の一般ゴミからなぜ高濃度の放射能が検出されたのか。同市は隣の柏市と並んで千葉方面では比較的放射線レベルの高い地域だった。福島県内における浪江町、飯館村、伊達市という原発から西北方面は汚染レベルが高く、チェルノブイリでいうホットスポットに当たっている。事故時の風向きや地形によって同じ距離でも汚染度に濃淡が出る。チェルノブイリでは、原発から200kmも離れた隣国ベラルーシのゴメリ市はチェルノブイリ一帯と同じ汚染レベルだ。
 ゴメリ市と同じホットスポットが北は第一原発から西北の3市町村とすれば、南は南南西の茨城の水戸方面を飛び越えてレベルが高目なのが流山市や柏市一帯で、いわばミニホットスポット化していた。そのために庭木や落ち葉、戸外に置かれたゴミの放射能も高い。これら一般ゴミも超高熱による焼却によって量が凝縮される結果、焼却灰の濃度も凝縮される。柏市では12万8000ベクレルもの放射能を検出し、最終処分どころか焼却そのものすら受け入れてもらえないために、処分場のない同市にはゴミが溢れる寸前だ。
 原発から遠く離れた地域のゴミが汚染され、それがさらに離れた地域に運ばれて焼却されるとなれば放射能の拡散だ。高濃縮された焼却灰が、そのまま処理を引き受けた地元で埋め立て処分されればどうなるのか、予測もつかない。大館、小坂の住民が将来の地下水汚染や周辺の森林や里山への影響を懸念するのも当然である。まさしく原発事故ならではの予想外の事態が進行しつつあるのだ。


食品汚染は原料に問題が無くても工場に入り込んだ放射性物質によって今後も出てくる可能性がある

 それは食料、食品も同様である。
 明治の粉ミルクも流山や柏の一般ゴミと同じパターンの汚染だ。同ミルクの原乳はオーストラリアや北海道で、しかも事故発生の3月11日以前に搾乳されているので、原料にはまったく問題はない。となれば製造工程または出荷前の保存期間となるが、食品メーカーならそれらは厳重管理されているため、結論的には工場の建屋の隙間から外気と一緒に放射能汚染空気が入り込んだ結果ということになる。
 問題の工場はどこかといえば埼玉県の春日部市だった。同市は先の流山市や柏市など千葉県と埼玉県の県境に近い街である。原発から約200km地点のミニホットスポットに近いところ。それだけ放射能レベルも高く、工場の微細な隙間からも放射性物質が入り込んできたとみられている。まさしく油断も隙もないということだが、これからそんな予想もつかない汚染食品が現れてくるのを覚悟しなければならない。
 その前触れになりそうなのが、最近、ロシアと韓国の間で話し合われた日本海での海洋調査である。韓国側が提案しているもので、実施されるか否かも含めて未定とはいえ、日本政府にとってのプレッシャーになるのは間違いない。それというのも政府は海洋の魚介類調査を真面目にやっているとは思えないからだ。こまめにやる必要があるにも関わらず、明らかに手を抜いている。レベルの高い放射能が検出されるを避けているとしか思えない。
 海洋調査は東北を中心に太平洋側では当然だが、日本海側でもやろうという韓国提案もそれなりに説得力はある。潮の流れも魚も絶えず移動している結果、いつどこへ汚染された魚が現れるかは予測もつかないからだ。
 3・11後からしばらく経った四月、東電は敷地内に収まらない高レベル汚染水を海に放出することを発表した。違法と知りつつ、もはや止められなかったからだ。
 「東電発表があった途端、市内にある寿司屋はすべてガラガラになってしまいました」
 というのは米ロサンゼルス在住の友人である。米西海岸には寿司ファンも多いが、そこには日本の太平洋岸を通り、ハワイ北方を回ったマグロやカツオが回遊してくる。そんな魚は食べたくないという心理が寿司屋をガラガラにしたもの。氣が早すぎるとはいえ、回遊してくるのは間違いない。
 福島沖から拡散した汚染水は、まず沿岸部の小型魚介類を汚染し、さらにアジやサバなどの中型魚をエサにするマグロなどの大型魚に濃縮されていく。そしてこれら魚と同様に太平洋を回る海流もやがて日本海にも流れ込み、どこからどんな汚染魚が出てくるかわからない。事故当初から日本政府牽制も含めて韓国や中国、ロシアが海洋調査を言い出すのを予測していたが、決して外交的なイヤ味ばかりではなく、それなりの理屈はあるのだ。
 これから長期にわたる食料品汚染問題に向き合わねばならない。意外な汚染食品など、盲点を含めて検証していく必要がある。(了)


              
恩田 勝亘
恩田 勝亘(おんだ かつのぶ) ジャーナリスト
1943年生まれ。'71年より'07年まで講談社「週刊現代」記者として、国内外の政治、経済、社会問題を取材。主テーマの一つが原子力問題。 06年にはチェルノブイリ4号炉中枢に突入。
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